第20回防災まちづくり大賞  消防庁長官賞受賞

3月 13, 2016
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青木山口授賞式                                                                                                                                                                                                                                                     
「パートナーシップながれやま」と「流山子育てプロジェクト」とコラボして、乳幼児や高齢者、外国籍の方を対象とした防災活動をしています。
この3年間の活動が消防庁から評価され、このたびごほうびをいただきました。
プロジェクトの代表が受賞の感想を寄せてくださったのでご紹介します。

思い返せば3.11、夫の帰ってこない不安な夜を子どもと震えながら過ごしたことから、乳幼児世帯に本当に

役立つ防災減災の知識をまとめよう。と、活動を始めました。今でも、リュックサックに水と缶詰を詰め、

新聞紙に運動靴を置いて寝た夜を忘れることはありません。何があっても、この子は「私が」守るのだと、

必死に心を強くしたのを思い出します。

消防署、行政の担当課、国の施設、民間のイベント。さまざまな場所に足を運び、学習を重ねました。

減災アドバイザー水島重光先生の「『暮らし』を継続するために備える」と言う言葉は、私たちの

活動の原点です。単に生き延びることではなく、「暮らし」を守るのだということ。

相談に行った行政の担当課には「防災ノートなんてすぐに捨てられる。大学ノートでも配った方がマシ」

と言われ、読み捨てられないためにどうするか、工夫を凝らしました。体裁を書き込み式のノートブックにし、

その家庭その家庭の情報を書き込み、避難所に持っていける内容にと工夫しました。

ハンドブックを渡して終わり、ではなく、一緒に学ぶ機会を作ろうと防災キャラバン隊「防災寺子屋sole!

(そ?れ)」を立ち上げました。

自治会での防災寺子屋活動、蓋を開けてみると、集まるのは高齢者。親子向けの講座なのに…と戸惑う私たちを

励ましてくれたのは、地域のご高齢者でした。「固いものは食べられない。オムツも必要。何より独りじゃ

逃げられない。乳幼児家庭も高齢者世帯も同じじゃない。私にもできる、ってそう思えたわ。この講座、

とっても役に立ったわよ!」頭が固いと決めつけていた、自治会長さん達は「昼間地域にいるのは女性

と高齢者。女性の視点がなければ防災は成り立たない」と活動を応援してくれました。

地域をキャラバンして気づいたことは、地域に住んでいるのは、親子と高齢者だけではない、ということ。

本当に必要な人に防災の情報を。と外国語版の制作に取り組みました。
1頁だけ英訳したテスト版を持って、国際交流協会の日本語教室に持っていくと、口々に「日本語版が

欲しい。日本語版はないの?」と聞かれました。外国人なら英語が読めるというのは勝手な思い込み。

日本語教室に英語を読める生徒さんはゼロ、日本に住む外国人の共通語は日本語だという当たり前の

事実に気づかされました。

まずは、簡単な小学生でも読める日本語に直そうと、ハンドブックの情報を見直すことからスタート。

最終的に小学生レベルの日本語に英語と中国語の対訳をつけた多言語版が1月に完成しました。

現在は、より若い世代や、読むことにハードルがある人に向けて、YouTubeで公開する防災動画

を制作する活動を行っています。
私たちの活動は、本当にささやかな活動ではありますが、災害弱者と呼ばれる人々に対して、乳幼児を

抱える私たちがエンパワメントする、弱者が弱者を励まし支える活動です。赤ちゃん連れのあの人たちが

できるのだから、私にもできる、そう思って貰いたい。「災害が起きたら死ぬしかない」と言っている

人が、それくらいならできるかも、と備蓄や家具の固定などの災害対策を始め、アレがいいわよ、と、

周りの人までをも巻き込んで災害対策の講釈を始める。この、災害弱者であった人が地域の中で共助の

要へと変化するダイナミズムを、私達は今、一番伝えたい。弱いからこそ感じられる不安を、絞り出す智恵を。

災害弱者は災害弱者だからこそ、地域の力になる。エンパワメントされた人は、必ず、エンパワメント

する人になる。まずは「不安なの。助けて」と言えること。漠とした不安を細かくセグメント化、見える化

して、できることから一つ一つ細かく対策することで、地域全体の防災抵抗力(レリジエンス)を高めていきたい。

最後に、今回の大賞には、多くの皆さまに支えられ、励まされての活動であることを誇りに思います。

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